テットーひろばの理念

外遊びの大切さ

子どもの成長にとって、遊ぶこと、自然の中で過ごすことはとても大切です。
子どもは生まれた瞬間から風の流れ、木々のざわめき、草木のにおい、水や土の感触などさまざまな刺激を受けながら成長していきます。
乳幼児期から外で遊ぶことで五感を駆使して季節の変化を感じ、仲間とつながり、協働しながら遊びを生み出していく。禁止事項を設けないことで子どもはさまざまな遊びに自由に挑戦でき、それが出来たときには達成感とともに自己肯定感も高まっていくと考えます。

子どものあふれ出る活発なエネルギーを受けとめるためにも、オープンスペースである屋外での子育てが、親子ともにストレスの少ない子育てにつながると考えています。

まちづくり

よりよい子どもの成長や子育て環境のためには、子育て当事者だけでなく、それらをあたたかく見守る地域のつながりが欠かせません。
テットーひろばでは来園年齢に制限を設けず、赤ちゃんからおじいちゃん・おばあちゃんまで誰でも来られる場としています。乳幼児を中心とした異年齢の子どもが「遊び」を通して関わりあい、豊かな経験を重ねながら活き活きと育ちゆく姿を、親だけでない多世代の大人が見守る。

多世代で子育てするまちづくりを目指しています。

子育て支援

親子関係は濃密であるがゆえに、時に息詰まることもあります。
わが子との距離を少し置き、間に第三の大人が関わることで親自身がリフレッシュできるとともに、普段見過ごしていたわが子の長所や心身の成長について、新たな気づきをもたらすきっかけになると考えています。

また、来園者とのコミュニケーションを通して、人と人、人と遊び、人と場をつなげることも大切です。多世代間の交流や顔の見える関係を築いていくことで、子育て当事者同士が支えあうネットワークが生まれていくことが、子育て支援につながると考えています。

テットーひろばの運営方針

地域と住民による運営

テットーひろばは「子どもたちにもっと自由な遊び場を」という思いで開放された私有地を使って、オープンしました。

子どもたちが自由に遊べる場所をつくるには行政に任せきりにするのではなく、地域住民が主体となって運営することが欠かせません。
テットーひろばの運営は、子育て真最中あるいは子育てがひと段落した地域の大人たちの思いと力によって成り立っています。
毎月1回の月例ミーティングを中心に、その都度、みんなで考えながら作っていくことを大切にしています。

専門家の声

特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会
理事 久米隼さん

私有地で展開される全国でも珍しい遊び場である「テットーひろば」ですが、テットーとは、大きな鉄塔が隣接していることに由来しているそうです。
しかし、この鉄塔は、ひろばに近づくと突然見えなくなってしまいます。なんとも不思議です。

子どもが主役の「遊ぶ」を、陰で支える地域と住民の並々ならぬ努力が形になっているのがテットーひろばの魅力です。
これからも、地域の子どもたちをそっと見守り続けてください。ひろばに近づくと、子どもたちに主役の座をさりげなく渡す、あの鉄塔(テットー)のように。

行政との協働

地域での活動は、行政の理解と協力があることで、より一層実りの大きいものとなります。

2007年10月より、世田谷区から「おでかけひろば事業」(厚生労働省地域子育て支援拠点事業)として運営しています。資金、情報、スタッフ研修などさまざまな方面で支援を受け、よりよい地域の子育て環境づくりを目指して活動しています。

専門家の声

特定非営利活動法人せたがや子育てネット
代表理事 松田妙子さん

世田谷区の「地域子育て支援拠点事業」は、地域の人たちが組織化して事業を担っているところがたくさんあるところが特徴なのですが、テットーひろばはその先駆けです。この地域で子どもと暮らしていくことを支える場を、長年、先頭きって展開してくださっています。

「外遊び」と構えなくっても自然と導かれ、気楽に屋外空間と室内空間を自由に行ったり来たりしながら、子どもが主体となった過ごし方ができるのが魅力です。
ついつい子ども同士の遊びや関わりに介入しがちな大人たちも、ここなら見守る力も養えるし、地域にこんな安心できる場があれば、ほどよく“放牧”されて、子どもたちものびのびと、自分なりの探求をしていきますよね。

プレーリーダーの存在

プレーリーダーは、いつもいる人、「テットーの顔」です。
子どもが「やってみたい」と思う遊びを見守り、遊びの素材・道具の準備や手入れ、遊具の安全管理など、遊びの環境づくりを行うほか、時には自らも遊んで子どもを刺激します。
子どもの遊びを主導するのではなく、彼らの気持ちを応援し発展させていく立場です。

また、来園した親子とのコミュニケーションは欠かせず、おしゃべりしながら自然な支えあいをコーディネートしていくことも大切な役割です。

プレーリーダーの声

のざわテットーひろばプレーリーダー
石原 遼(いえもん)

プレーリーダーの役割はさまざまですが、僕は子どもの「やってみたい」気持ちを応援して、「子どもたち がいきいきと遊べる環境づくり」を大切にしています。
遊びの中で起きるたくさんの“失敗”を安心してできること、まわりの大人が温かいまなざしで見守ること、時には僕自身も一緒に遊ぶことで、「ここまでやっていいんだ!」「もっとチャレンジしてみよう!」って思える場づくりをしていきたいと思っています。

また、プレーリーダーは同時に「コーディネーター」の役割も持ち合わせていると思っています。人と人、人と遊び、人と場所、場所と地域をつなぐために、来園者や近隣住民とのコミュニケーション、地域や社会への発信は欠かせず、子ども主体の遊び場、親子の居場所づくりに取り組んでいます。

テットーひろばのあゆみ

はじまりは、とある地域住民の思いから

テットーひろばのある土地は、以前、造園会社の資材置き場として利用されていました。

2000年、4階建てワンルームマンションの建設計画が持ち上がり、周辺住民が反対運動を起こしたことを受け、隣に住む山縣恒子さん(テットーひろばの大家さん)が土地を買い取ったことに端を発します。

買い取った土地を地域のために活用できる方法を模索する中で、プレーパークの取り組みに出会いました。
そこで、地域で活動する子育て支援グループ「マンマとプチ・グランマ」とともに、低年齢の子どもを対象にした遊び場の立ち上げに取り組みます。

そして、2002年4月、テットーひろばは産声をあげました。

大家さんの思い

山縣恒子さん

あれからもう20年経つのですね。私宅隣の土地に境界線ギリギリのアパートが建つと知り、亡夫が買い取り、さてどう使用するか考えました。
その頃から家にこもっている子ども達が多く気になっていました。私の子どもの頃のように、今の子ども達も外で自由に遊んでほしいという想いで始めた遊び場です。

子どもがずっと親と顔を突き合わせるのではなく、年代の違う子ども達や親ではない大人と付き合うこと、そして外遊びは最も重要なことと考えます。
少しでもそのお手伝いが出来れば、と手探りで始めたテットーひろばですが、多くの皆様の努力でこんなに活気づき感謝です。

活動基盤を形成した「助成金」

オープン当時は、敷地の中央に真新しい建物がポツンとあるだけで、周囲は野原のような場所でした。
備品や遊具をもっと増やしていきたい、場づくりをしていくプレーリーダーがほしいなど持続可能な運営への思いは強まる一方、当時は基盤づくりをするほどの資金はなく、その望みを助成金につなげることとなりました。

公益財団法人せたがやトラストまちづくり、世田谷区社会福祉協議会、ニッセイ財団などの助成を受け、場づくりに活かしていきました。
2007年10月には、世田谷区「おでかけひろば事業」に認定され、常時2名のスタッフや備品などを揃えることができました。

2002年度~ 世田谷区社会福祉協議会 子育て支援サロン補助
子育て中の母親たちが気軽に集まっておしゃべりできる機会を提供しようと、イベントなど、日常の活動の中に織り交ぜて実施した。
2002~2004年度 世田谷まちづくりファンド まちづくり活動部門助成
遊び場で使用する基本的な道具箱、木材・ペンキなどの資材、室内の本棚などを揃えた。その後、プレーリーダー人件費が認められ、週1~2日の活動日にプレーリーダーを配置した。
2005~2006年度 世田谷区社会福祉協議会 地域の支え合い活動助成
来園者の若い母親たちを中心に地域を取材し、「子育てマップ・ふれあいマップ」を作成した。また、これまでの活動記録をまとめた「3年間の記念誌」も作成し、あわせて配布した。
2005~2007年度 世田谷区 自然体験遊び場モデル事業受託
世田谷区の新たな事業である「自然体験遊び場モデル事業」の受託を受け、週2日の活動日にプレーリーダーを配置した。世田谷区が子ども施策を整理する2007年度まで3年間受託した。
2007~2008年度 世田谷区まちづくりファンド まちを元気にする拠点部門助成
トイレとテラスの整備を目的として、初期段階から建築家と協力して調査準備費用により申請案を作成。2008年度に施工した。
2007年度 ニッセイ財団 放課後の子どもの居場所づくり事業助成
手作りの石窯やそれを利用したイベント等を実施した。
2007年度 東京マイコープ 市民活動助成基金
藤棚下の20畳のウッドデッキと土のひろばへ通じる木道を整備した。ベビーカーなどでも利用しやすい状況をつくることができた。
2008年度 SAHS 地域のトイレを増やそうプロジェクト
トイレ整備に際してユニバーサルデザインとすることで、SAHS(世田谷オルタナティブハウジングサポート)の「地域のトイレを増やそうプロジェクト」に位置づけられ、募金から助成を受けた。
2009年度 世田谷まちづくりファンド まちづくりネット文庫部門助成
テットーひろばの開園以来の経緯、活動から得られた経験や知見、スキル等をまとめ電子図書を発行した。
2012年度 認定NPO法人サービスグラント プロボノプログラム助成
テットーひろばホームページをリニューアルした。

2015年度 世田谷区子ども基金助成
有志活動「こめつ部」が企画する、1年間のお米づくり体験プログラムを行った。
2020~2021年度 公益財団法人パルシステム東京 市民活動助成基金
有志活動「はたけ部」の活動基盤を強化するため備品の購入や備品倉庫の建設、堆肥場やぶどう棚、ビオトープなどを設営した。また、はたけ部のリーフレットも作成し、来園者へ配布した。
2021年度 東急株式会社 「みど*リンク」アクション
テットーひろば入口で四季折々に咲く花の苗や土、ハーブガーデンの整備・栽培にかかる経費を助成していただいた。

運営団体について

組織概要

■名称
特定非営利活動法人 野沢3丁目遊び場づくりの会

■会員
ささえ手会員(運営会員)
気持ちささえ手会員(賛助会員)

■沿革
2002年1月23日
2002年2月13日
2002年3月17日
2002年4月3日
2007年10月1日
2010年2月2日
2022年7月18日


任意団体「野沢3丁目遊び場づくりの会」発足
第1回オープニングイベント「餅つきと獅子舞」開催
第2回オープニングイベント「あそぼうパン」開催
のざわテットーひろば開園
世田谷区おでかけひろば事業に認定
NPO法人格を取得
のざわテットーひろば20周年記念イベント開催

■役員
代表理事
副代表理事
副代表理事
理事・事務局
理事・会計
理事
理事
理事
理事
理事
顧問・アドバイザー
顧問・アドバイザー
顧問・アドバイザー
監事
監事


濱田 憲和
赤阪 美智子
介川 貴晶
椙山 洋子
吉田 かおり
岡﨑 友美
竹中 愛華
塚本 重美
村上 聡美
渡辺 景子
池田 栄子
岩間 祥子
野下 健
小澤 里穂
廣吉 敦子

(五十音順/敬称略)

発行物・メディア掲載

●発行物
新米ママへの応援フリーペーパー「どこいこ」(2010年10月)
のざわテットーひろばの歩み(2010年3月)

●メディア掲載
合言葉は「地域のみんなで子育てしよう」のざわテットーひろばが育む遊び場づくりのスタイル
(マルモ出版「My GARDEN No.108」,2023年)

「やってみたい」で始まる親子の居場所づくり
(公益財団法人あしたの日本を創る協会「まちむら155号」,2021年9月)

多世代で子育てするまちづくり ーのざわテットーひろば18年のあゆみー
(せたがや自治政策研究所「都市社会研究2020」,2020年3月)

「第3の大人」の役を 「冒険遊び場」のプレーリーダー・石原遼さん(28)
(毎日新聞「Stand by you! そばにいるよ」,2018年7月25日)

プレーパークで聞いてみた!子どもの「生きる力」を育てる遊びのヒント
(株式会社マイナビ「マイナビ2019 就活ガイドブック 保育・幼児教育系学生」,2018年4月)

すくすく子育て
(NHK教育テレビ,2007年6月30日放送)